その瞬間、親が帰ってきた。カッターを持って大泣きしながらおねーちゃんに怒ってる私を見てひどく驚いて、おねーちゃんもおろおろしてた。



私の言葉が通じたのかわからない。
いじめがどうなるのか知らない。
けど、おねーちゃんは生きることを決めてくれたみたいで。


「ありがと、あんたに救われたよ」

おねーちゃんからのお礼なんて久しぶりで、少し驚いた。

「私ただ泣いてただけだし………」
「ううん、漫画とかみたいに格好良い言葉より、心にガーン!ってきたよ。必死だって、わかった」

今更ながら恥ずかしくなってきた。

「じ、じゃあ見返りは、」
「見返り求めるの⁉︎」



私が頼むことなんて決まってる。




「リコーダー教えてね、おねーちゃん!」