壁によりかかってる男子生徒。
成る程、確かにこれはイケメンという他ないだろう。
髪は染めてないが、片耳にはピアスがつけられている。
ぐーぐーと両手を頭に回し、気持ち良さそうに寝ている。

「………ん、ぅあ?」
「わっ⁉︎」

急に目を開けるもんだから驚いて飛び退く。

「よく寝た………って、誰お前」
「おはようございます。でもお前じゃないです。名前あります。同じクラスですっ!」
「うるせー」
「寝起きの機嫌の悪さをぶつけないで下さい!」

失礼な人だ。
けど、何故か憎めない。きっと、悪い人じゃない。

私はポケットにたまたまあった小さな飴を取り出し、笑いながら、



「これ、どうぞ。チョコじゃないけど」



ーーー少年は、目を丸くし、綺麗に笑った。