それは桜も散ってしまい穏やかな春の日だった
僕はお寺の本堂近くの桜の木で村を見ていた
この景色は何年も何十年も変わらない
僕がいたときからずっと

ガラガラガラ

「新しい住人がきたかな」

ガチャ、バタン

中から降りてきたのは黒髪の女の子だった
その小さい手には骨壺が抱えられている
「あの子の家族か…」

住職にしたがい納骨を淡々と進めていく
無表情で淡々と
まわりは泣いているのに女の子だけ泣いていない
僕にはそれが不思議だった