私は仙堂先生から言われていた進路希望を提出した。

 第1希望は東京にある私立の女学院・白鳥河学院だった。この高校は母の母校でもあったので、私も行ってみたいと素直に思っていた。特に音楽系クラブの合唱部は全国合唱コンクールの常連校として名が上がり、プロのスカウトも来るほどだったのも理由の一つだった。

 第2希望は地元の熊倉西高。ここは男女共学の公立高校。万が一落ちた時のために滑り止めということでここにした。家から徒歩10分という距離にあるので実はこの中学より近くにある学校だった。

 進路というとそういえば、陽平と磯浪さんは何処に決めたのだろう?私の記憶が正しければ陽平は確か東京の陸上の強豪校である関東第一高校からスポーツ推薦があったはず。

 陽平は相変わらず外で走っている。
 走ってる時の陽平ほど魅力的な者はいないと私は本気で思う。

 なぜそう思うかはきっと私には何もないからだ…。自分で思って悲しくなった。

 そしてそんな私を磯浪さんが見てたことに私は全然気付かなかった。

     *

 私にとって中学最後の冬休みが始まった。
 と、いっても冬休みの宿題もあるし、二月には入試だしでこの期間は私にとって地獄に近かった。勉強はそこそこ出来る方だと自分では分かってる。だからといって甘えは許さない。

「絶対に合格したい!」

 理由はいろいろだ。
 まずは母の母校だから。
 合唱部が気になるから。
 そして最後は、不純な動機だ。きっとこれだけで今の私は動いている。どうしようもなく単純だった。

 クリスマス・イブは12月24日金曜日。
 この日まで後、2日ある。
 学校の宿題はこの2日で終わらせる。
 
「よし!」

 そして私は2日間徹夜で宿題に没頭した。有希と麻里の遊びの誘いも断って、携帯の電源も切って無心になって勉強した。
 連続徹夜したこともあって、何とか宿題は全部終わらせた。
 携帯の電源を入れると何件もメールが入っていた。磯浪さんからだった。

『大丈夫?』とか『平気?』とか『どうしたの?』とか、体調を気遣ってくれているかのような内容ばかりだったので、私は『もう大丈夫!』と返信しておいた。

 するとすぐに受信メールが来た。
 送り主は、陽平だった。