「あー、もしもし、俺、今大丈夫?」
「はいはーい、大丈夫だよ、何?」
「いや、携帯って便利だなって思って」
「えっ、何が?」
「いや、今、ドラマで携帯出てきてさ、男が電話すんだよ女に。そしたら、まあ、繋がるわけ。それ見たら、便利だなー、俺も使いたいなー、と思って」
「ふーん。酔ってんの?」
「いや、酔ってないし、正気なんだけどさ」
「シラフの方がちょっと怖いんだけど、何?そのテンション?ドラマに感動したの?」
「いや、何かね、携帯ってあんま好きじゃなかったし、今でもあんま好きじゃないけど、いいとこもあんなって気づいたっつーか。いい使い方もできんだなって思って。」
「よくわかんないけど、そういうもんじゃないの、携帯って。便利の塊みたいなもんでしょ」
「まあ、そうだな。この話長くなりそうだから、もういいや」
「えー、そっちからかけてきたのに?まあ、いいけど。もしかして、用はそんだけ?」
「まあ、そう。」
「なに、それ、まあ、じゃあまた」
「いや、ちょっと待って。とりあえず、言ってみると、用がないけど電話してみてもいーんじゃね、と思ったのよ、たまには」
「ああ、そう。つまり今のコレの事?」
「そうそう。どう?」
「どう、って。んー、ケースバイケースじゃない」
「じゃ、今は?」
「んー、なんて言うか、いいんじゃないですか。」
「なんだよそれ、もっと何かあんだろ」
「いや、てゆーかめんどくさいし、この話やめようってさっきあんたが言ったじゃん」
「わかった、ごめん、意味不明な電話して」
「いや、別に謝る必要ないけど、頭おかしいのかと思ったよ」
「まあ、おかしいっちゃおかしいのは自覚してんだけど、なんかこんがらがってきたな、中途半端だけど、まあ、このへんで」
「はは、何それ。自覚してんだ。はい、じゃーねー」
「うん。じゃ、また。」