手紙-あなたへ。-

「社長、俺この子好き!」

好き!!??

飲んでいたお茶割を
吐き出しそうになった。


「付き合いたいですわ」


酒が飲み込めない。

こんな仕事をしていれば
こんな言葉は大安売りで
慣れているはずなのに
今日に限って
要に限って
私は目眩がするほどに
緊張していた。


「だってよ!」


一升瓶を片手に
じゅんくんが囃す。


「悪い冗談ですね。
じゅんくん、飲み過ぎ」


数分前には満タンだった
一升瓶はすでに三分の一。

この人やっぱりおかしい。


「このあと時間ある?」


耳元で要は囁いた。


「すいません。
私アフターしないので」


きっぱり断った。

弘毅と家で電話したい。

何より怜が待っている。


「今度昼間、会ってよ」


要はとことん攻めだった。


「また、外でね」


余裕ぶって返した。