手紙-あなたへ。-

「そうですか?
ありがとうございます」

営業スマイルを浮かべて
水割りを作る私を
要はじっと見つめて

「可愛いな、麗奈ちゃん」

そう呟いた。

「気は確か?
いい眼科紹介しましょか」

難無く笑い飛ばして
水割りを要の前に置く。

ふと顔を上げて驚いた。

サングラス越しの要の
言葉を失う程綺麗な瞳が
まだ私を捉えていた。


「携帯教えてよ」


私は何も言わずに
名刺を差し出した。


「毎日電話するよ?俺」


まだ心臓が高鳴っている。

ニコリと笑って
ごまかすように
煙草に火をつけた。


「要、麗奈が
お気に入りか!?」


斎藤社長。
通称、じゅんくん。
24時間365日酔っている。

というか
酔っていてもシラフでも
この人のキャラは変わらない。

当店屈指の酒豪だ。