手紙-あなたへ。-

その中のお客さんとして
要に出会った。
お得意様の社長について
要はあたしの前に座った。
夜なのにサングラスかけて
作業着のまま煙草くわえて
笑顔で…。


「初めまして麗奈です」


酔っていたあたしは
千鳥足で席についた。

まだこの時は要と
どうこうなるとか
何にも考えてなかった。

彼氏がいた。

遠距離だったけれど
あたしには彼氏がいた。

彼氏の名前は弘毅。
この私の思い出の中には
要と弘毅の名前と
娘の怜の名前しかない。


「脚、めちゃくちゃ
綺麗じゃない??」


この言葉が要が私にかけた
初めての言葉だった。