手紙-あなたへ。-

周りに音がない分
電話越しに聞こえる
要の声が近く感じた。


「今日じゅんくん来たよ」


声を聞けば悩む。
どうしたらいいのか…
自分の気持ちに正直には
到底なれそうにも無い。

だけど、要の声に
私は素直に安堵を感じて
きっと今
とても楽しそうな顔で
要と話しているのだろう。


「ねえ要くん」


私は矢継ぎ早に
言葉を発した。


『ん?』
「要くんは
私を好きになれる?」


自分でも信じられない
そんな質問だった。


『どうした?』


笑いを含んだ声に
抑えていた涙が
また溢れそうになった。


「好きになれる?」


どんな声で
私は質問したのだろう。

要の次の言葉が
聞けるまでの時間は
やたら長く感じた。