手紙-あなたへ。-

タクシー乗り場までの
この短い距離は
今日に限って長かった。

夏の夜の空気は悪くて
あちこちから聞こえる
喧騒の声が
私は夜の世界の女だと
再認識させているようで
考えがまとまらなかった。

タクシーの窓から
外を眺めても変わらない。
この夜の世界の人間の中の
どれくらいの数が
私のような思いをしている?
無性に知りたくなった。