血が繋がってないなんて
今の怜には分からない。

きっと怜は弘毅の事を
本当の父親だと
思っているのだろう。


「そう、良かったね。」


何だかいたたまれなくて
自分自身を責めた。

要なら何て言っただろう。
あんまり考えるなと
優しく宥めてくれたのか。

それとも無言で
私のグラスに酒を注いだ?

それとも…

いつものように
抱きしめてくれたのか?


「もう少し寝や?
俺と怜はそこらへん
うろうろしよるから。
また起きたら電話して」


弘毅は笑って立ち上がった。


「怜、おとうと映画
見てこようか」


きゃっきゃっと
嬉しそうな笑い声を上げる
怜と一緒に弘毅は
病室をでていった。

また一人になった。

白い天井を見つめて
目を閉じる。

まだ酒が残っているのか
眠くなるまでに
そんなに時間は
かからなかった。