偽りは、此れを恋と呼ぶ。



実際、大したことないのかもしれない。

デートの約束を破られるなんて、よくありそうなことである。

でも、なぜだろう。

柚仁はこの日の透をどうしても許せなかった。

今までで、4回。
この日の部活中のような柚仁の期待を裏切り、傷つけられたのだ。

今までの4回だって、きっと大したことじゃないのだろう。

一緒に帰る約束、放課後買い物に付き合ってもらう約束、冬休み中遊園地に行く約束…。ほら、たいしたことない。

だから、傷ついても涙を流しても、期待した自分が悪い、そう言い聞かせて許してきた。今までそうやってやり過ごしてきたじゃないか。

けれど、柚仁の胸の中はもうすでにいっぱいいっぱいで、この時そんな余裕はなかった。