偽りは、此れを恋と呼ぶ。



柚仁の予想通り、透はすぐにクラスの中心となった。

似たような匂いのする男女が透の周りに群れを成し、クラスを仕切っているように見えた。

毎日が楽しそうで、いかにも青春って感じのグループ。

彼らの会話からは、カラフルでギラギラした言葉ばかりで。
なんて、高校生らしいのだろう。
自分だって高校生のくせに、柚仁はそんなことを思っていた。

柚仁は、席が近かった唯香と芽衣とひっそり、いや、極めて普通に過ごしていた。
特に気が合う訳でも、一緒にいて楽しい訳でもないが、一つ考えは同じ
「一人は嫌」
だから、なんとなく一緒にいた。

透たちのように派手に目立つわけでもなく、自分たちなりに上手い立ち位置で過ごしているつもりだった。