AveniR-アヴニール-

「ボウヤじゃねえよ。

てゆうか、ケガは別に…」

俺は女性を態度で突き放そうとしたが、

女性は俺の右手を引っ張って歩き出した。

「ちょっ、なにする気だ!」

「手当てしてやるよ。

そんなケガを放置したら、

出血多量で死ぬよ?」

「うっ…。」

女性の正論に俺は口答え出来なかった。

確かにこんな砂漠の中で

死にたくはなかった。

こいつ、俺を気遣って

ケガしてない方の手を掴んでいたのか。