AveniR-アヴニール-

女性の声だった。

とは言っても甲高い声ではなく、

やや低音気味の大人の声だった。

女性は走って俺の元に来た。

焦げ茶色の

腰まで長い髪で

眼鏡をかけた美人だ。

背が高く、

コート越しからでも分かるほどの豊満な胸部(キョウブ)と

華奢(キャシャ)な体つきだ。

大人の女って事がはっきり分かる。

顔つきは真面目そうだが、

話し方はどこかいい加減だった。

「なんだい、ボウヤがこんな砂漠につっ立ってさぁ。

つーか、ケガしてるぜアンタ。」