AveniR-アヴニール-

左手の傷を見た。

緑色に乾燥したカサブタがあった。

「……ひっ!」

俺は小さく悲鳴をあげた。

こんな緑色の傷を見てると、

自分がデトリだという現実を突きつけられてるように感じる。

「嫌だ…!デトリとっ、

同じになりたくねえ…!」

俺は緑色のカサブタを

指でえぐりとった。

「ぐっ、うぅぅ…!」

当然ながら、強烈な痛みが

俺を襲った。

だけど、あの頃の悪夢と比べれば

たいしたことは無い。