まっしろな遺書

 2015年7月18日

 今日の朝、隼人が愛を背負って病院へ帰ってきた。

 愛の様態は最悪だった。
 かろうじて意識を保っていた……

 それを病院の外で見つけたのが十三だった。

「隼人君が、愛ちゃんを連れ出したのかい?」

「……うん」

「どうして!?」

 十三が、怒鳴ろうとしたとき美穂が、十三の手をぎゅっと握った。
 美穂は、愛ちゃんの方を見ている。
 愛ちゃんの表情が明るい。

「昨日、徹夜で星を見たんだよ……
 でも、雨で全然見れなかった……」

「そっか……
 残念だったね」

 美穂が、愛の目線に合わせて話す。

「うん」

 隼人の表情は、今にも泣きそうだ。

「疲れただろう?
 とりあえず、病院の中に入ろう」

 十三が、そう言うと隼人が小さくうなずく。

「うん」

 十三は、愛ちゃんを抱きかかえると美穂と隼人と一緒に病院の中に入った。

「隼人君!愛ちゃんも!」

 千晴が、心配そうに駆け寄ってきた。
 そして、そのまま愛を病室に連れて行った。

 愛の祖父母も病室にいた。

 隼人は、深々と頭を下げて謝った。

「ごめんなさい……」

 しかし、清輔も希世も怒らなかった。
 愛の楽しそうな表情を見れば怒る気も失せるだろう。
 愛の表情は、物凄く明るく嬉しそうで幸せそうだった。


「隼人君……
 ありがとうね」

 希世が、そう言って隼人を抱きしめる。

「え?
 愛ちゃんのこんな顔、久しぶりに見たよ」

 清輔が、そう言ってニッコリ笑った。

「お爺ちゃん、お婆ちゃん。
 あのね昨日の夜、隼人君と徹夜で星を見たんだよ。
 でも、雨でずっと見れなかったんだー」

「そうか……
 疲れただろう、2人とも今日は休みなさい……」

 愛の笑顔を見た清輔がそう言ってベッドに横になる愛の頭をなでた。

「うん!おやすみなさい」

 愛は、そう言って静かに眠りについた。

「隼人君も自分の部屋で寝よう」

 十三は、そう言って隼人を病室まで連れて行った。