まっしろな遺書

 2015年7月14日

 愛が朝早くに目を覚ました。
 十三は、それを聞いたすぐ後に美穂と一緒に愛の病室に向かう。
 愛は、管につながれていて、苦しそうだった。
 そばには隼人が、つらそうな表情でこちらを見ている。
 でも、十三と美穂を見た隼人の表情はどこか安心したような表情だった。
 十三に気付いた愛が、精いっぱいの笑顔で弱弱しく笑う。

「あ、十三さんだー」

「ああ、十三さんだよ」

 十三は、冗談ぽくいってみる。

「十三さん、おはよう」

「ああ、おはよう」

「隼人君がね、ずっとそばに居てくれたんだよー」

「そうか、よかったね」

 そして、十三はゆっくりと視線をずらして愛のそばに居る老人夫婦を見る。

「あの……
 貴方たちは?」

 老人夫婦は、十三たちの方を見て不安げに訪ねてきた。

「俺は、詩空十三です。
 んで、こっちが……」

「杉並……美穂です」

 美穂がそう言って頭を下げる。

「ああ、貴方たちが……
 愛から話はいっぱい聞いています。
 私は、この子の祖父の水野 清輔(みずの きよすけ)です」

「私は、その妻の希世(きよ)と言います」

 2人は、そう言って深々く頭を下げる。

「私見れるかな?」

 愛が、心配そうに呟く。

「何を見るんだい?」

 清輔が、そう言って愛ちゃんのそばに行く。

「17日の流星群……」

「大丈夫。
 きっと見れる……
 それに17日に見れなくてもまた次があるから……」

 隼人が、そう言って愛の手を握り締める。

「次っていつかな?」

「それは、わからないけど……」

「その頃には、私たち結婚してるかな?」

「え?」

「私、隼人君と結婚したい」

「うん!そうだね。
 次のしし座流星群の頃までには結婚しよう!」

 隼人は、そう言って小さく笑う。

「約束だからね」

 愛は、隼人君と指切りをした。
 十三は泣きそうになるのを必死に堪えた。