どこまでも続く長いハイウェイを走り続ける。テキサスからテキサスへ。誰ともすれ違う事はない。旧式のオープンカーで。トランジスタラジオから流れてくる音楽は耳から耳へ突き抜けていく。長く音楽を聴きすぎた所為か、メロディもベースもカッティングも聞こえない。聞こえてくるのはエンジンの音。静かな夜のざらついた肌触り。ラジオは壊れていたのかもしれない。しかし、それを確かめようとはしない。壊れてたからって何も変わりはしない。やがて、何も見えなくなる。夜だからか。ライトが消えているのか。目が見えなくなったのか。その区別すらつかない。そもそも、何をしているのか。記憶がない。いつの間にか全てが酷く薄い。あらゆることがそうであるように、気付いた時にはもう手遅れだった。ただ、僕はそれを感じていただけだった。夜の首都高速で見た夢の続きが終わり始める。夢が夢であるが如く。全てが、静かに、少しずつ、過ぎ去る。