「その国には例のごとく王様がいました。その年は雨が続き、作物は育たず、おまけに悪い病気が流行りました。王様は家臣に『この雨と病は誰の所為だ?』と聞きました。家臣達は誰の所為かわからなかったので、国中から探し出そうとしました。『この雨と病を起こした者は名乗りでよ』と国中に看板を立てました。3日経ったある日、一人の若者が名乗り出ました。『この雨と病は私の所為でございます』と王様に言いました。『そうか、お前の所為だったのか、それではどうすればこの雨は止み病は治るのか?』と王様はその若者に聞きました。『王様、雨は時が経てば止みますし、病は医者に見てもらえば治ると思います』『なるほど、お前の言う通りだ。しかしお前が起こしたのだから、お前がもっと早くなんとかすることはできないのか?』『はい、できません。なぜなら雨と病は確かに私の所為ですが、私が起こしたわけではないからです』『なんと、それでは誰が起こしたのか?』『それはわかりません』『では、なぜお前の所為なのだ?』『それは、私がそう思ったからです』『なるほど、ではお前が国を苦しめたということで死刑とする』『はい』『それでは明日の12時ちょうどに大広間にて首はねの刑をいたす、それまでは自由だ』『はい、わかりました』そして次の日、雨が止み太陽が真上に昇ったころにその若者は首をはねられました。と、話はここまでなんだが、なにか聞きたいことはあるか?」