【短】愛したくて、愛せなくて…。



「いい名前じゃない」


抱きつくみたいにして雪華が言った。


なんか包まれてる見たいで心地好い。


名前をそんな風に言った奴他にいたっけ?


なんか上手く言い表せないんだけど…嬉しいかも。


「笑われるかと思った」


俺は空を見上げてポツリと言った。


前を向き直して、ゆっくりと一歩前に進む。


雪華がぎゅってしてきた。


「笑わないよ」


さっきよりも耳の近くで言われてドキッとする。


可愛いげ0だったくせに、急に変なことすんなよ…。


「ねぇ礼澪…」


また耳元で声がする。


「あ?」


って動揺してんのがバレないようにわざとらしく返事した。


そしたら雪華は黙ったまま腕の力だけを強めてくる。


「どうしたんだよ…?」


ため息混じりに雪華に訊ねてみる。


また力が強まった。


「礼澪…エッチしよっか…?」


「はぁ?!」


一瞬何を言われたのかわからなかったんだ。


でもそれを理解した瞬間、歩くのを止めて出来るだけ雪華の方を向いて顔を見た。


「お前なぁ、初対面の男の耳元でそんなこと言うなよ!俺じゃなかったら完全に犯されてたぞ…」