【短】愛したくて、愛せなくて…。



たぶん赤くなっているであろう顔を、必死に隠しながら俺は言った。


そんな俺を見て彼女は小さく笑う。


「先輩、かわいい…」


「あんま男にかわいいとか言わない方がいいぜ。傷つくから」


「えっ?!ごめんなさい!そんなつもりで言ったんじゃないんです…!」


慌てる彼女が可愛くて、今度は俺が笑う。


「…先輩ひどいですよ」


泣きそうになりながら言う彼女の頭をゆっくりと撫でた。


俺にもわかるくらい、彼女の顔は赤くなる。


そして潤んだ瞳で俺を見た。


「…先輩、好きです…」


普通だったらこの子を選ぶんだろうな。


友達にやめとけって言われても、俺に近づいてくる子なんて今まではいなかったし。


でもこの子がどんなに可愛くても、やっぱり頭に浮かぶのはアイツの顔なんだ。


彼女から視線を逸らして前を見た。


一度大きく息を吸って深く吐いた。


そしてまた彼女の方を見て目を合わせる。


「ごめん。気持ちはすごく嬉しいけど、ごめん。俺…たぶん好きな奴がいる」