【短】愛したくて、愛せなくて…。



階堂が友達と一緒に俺のところまで来て言った。


「別にデートじゃねぇよ。ただ約束しちまったから破るわけにいかねぇだろ」


「なんだつまんねぇの。てっきり浮気デートでもすんのかと思ったのに」


「浮気も何も俺、誰とも付き合ってねぇし。だいたい俺ってそんな風に思われてるわけ?」


苦笑交じりに俺が言うと階堂は笑う。


「そうそう。そう思ってた。今日話すまではな。でも喋ってみたら全然イメージと違ってビックリだったぜ」


俺の背中を叩きながら、階堂は俺の耳元に顔を寄せた。


「お前の本命はこの前一緒だったっていう女の子なんだろう?」


耳元で言われて、俺の顔は一気に熱くなる。


「ちっげぇよ。別にそんなんじゃねぇし」


「はいはい。まったく、素直じゃないね、レーくんは」


「レーくん呼ぶな!」


階堂は笑いながら


「じゃあな」


と、手を上げて帰って行った。


「ったく」


軽く息を吐いて靴を履き替えると後ろから


「先輩」


って声がした。


振り向くと彼女が両手でカバンを持って立っている。


「あ、ごめん遅くて」