授業に飽きた俺は、窓の外を眺めてた。


風に舞う枯れ葉を目で追う。


これがなかなか楽しい。


「おい、蜜川!ちゃんと聞いてるのか!」


うるっせーな…。


人が折角楽しんでるってのに。


「なんだその目は!この問題前に来てやってみろ!」


めんどくさいと思いながらも黒板の前まで行く。


なんたって根は真面目だから。


なんの授業だっけ?


黒板に書かれた問題を見て、今が数学の時間であることを思い出す。


隣に立つ先生は“解けまい!”と言わんばかりの顔で俺を見ていた。


でも残念。


俺、数学って一番の得意科目なんだよね。


答えを書き込み先生に笑いかける。


「これで合ってますよね?」


俺の答えを見て、先生は悔しがった表情を見せる。


その横を通り過ぎ、俺は自分の席に戻って椅子に腰かける。


頬杖をつこうとしたら背中をつつかれた。


振り返ると今朝初めて話した階堂(かいどう)が


「やったな!」


と小さく言って、Vサインを見せる。


なんか俺、ほんとに馴染んでるよ…。


どういう反応していいかわかんなくて、Vサインで返してみた。