【短】愛したくて、愛せなくて…。



「怖いとか、無理してるとか、そんなんじゃないんです」


スカートを両手でギュッと握り締めて、俺を見る。


その目があまりにもまっすぐで、一瞬ドキッとした。


「先輩は覚えてないかもしれないけど、入学式の日に具合の悪かった私を、先輩は保健室まで運んでくれました」


入学式…?


ああ、あったかも。


あれは確か今年のことだから、この子は1年か?


上履きのラインの色は赤だ。


間違いなく1年生。


「でもそれだけだろ?ごめん、そろそろ教室行かないとヤバい」


「あ…」


その子は声を出しかけて止めた。


俯いたまま黙ってしまった彼女。


どうしたもんか…。


―――キーンコーンカーンコーン


予鈴が校内に鳴り響く。


「呼び止めたりして、すいませんでした…」


口を開いたかと思えばそれだけ言い残して、包みを抱え俺に背を向けて歩き始めた。


なんか悪いことしたかも。


話しも途中だったみたいだし…。


「ちょっと待って」


彼女を追いかけて、その細い腕を掴んだ。


「君、何組?」


驚いたような顔で彼女は俺を見る。


「1年7組です…」