【短】愛したくて、愛せなくて…。



あれはどういう意味だったんだ…?


もしかしたら意味なんてなかったのかもしれない。


雪華は、何を考えてたんだ?


病院を抜け出したり、あんなこと俺に言ったり…キスしたり…。


おかげで頭から離れねぇじゃんか。


インパクトありすぎんだよ。


本当は病院にだって行こうと思った。


でも一度しか会ったことないのに、それは迷惑かとも思ったんだ。


だから行けなかった。


会いたくても、我慢するしかなかったんだ。


猫が不思議そうに俺の顔を覗く。


気付けば、舐めるのもやめてくれていた。


ふと腕時計に目をやる。


「やっべぇ!遅刻すんじゃん!」


俺の声にビクリとする猫。


「わりぃな。また会ったら構ってやるよ」


そう言って猫を電柱の脇に戻してマフラーを首に巻く。


柄にもなく手なんか振ってみたりして、角を右に曲がった。


そこから猛ダッシュ!


体力ないのに朝からこんなに走ってどうすんだよ。


しかも今日って、1限から体育じゃなかったっけ?


超疲れんじゃんか…。


次の角を曲がれば、もう緑のない並木道。


周りには何もなくて、木の茶色ばっかり。