【短】愛したくて、愛せなくて…。



「行ってきます」


小さく言って俺は家を出た。


空を見上げると、青い空に白い雲がゆっくりと流れてる。


あの日はあれだけ天気悪かったのにな。


もう一週間も前のことなのか…。


1人になると、どうしてもあいつのことを考えてしまう。


本当にどうしたんだろ、俺…。


いつもと変わらない朝の通学路。


そこには、野良じゃないんだろうけど首輪を着けてない猫がいる。


もう結構前からいるけど、こんなとこににて寒くないんだろうか…?


丸まってるその猫に、俺は自分の首に巻いていたマフラーをふわりと巻いた。


ニャーと鳴きながら、猫が喜んでいるように見える。


人に慣れてるっぽいから、たぶん飼い猫だろう。


抱き上げると俺の頬に擦り寄ってくる。


「くすぐってぇ…」


俺が言うと、言葉がわかるみたいに頬から離れた。


真ん丸い目が可愛くて、なんかあいつみてぇ…。


「って、ちょっ…やめろって」


俺の唇を舐め始めた猫に言ってみても、やっぱりわかるハズもなく、その行動をやめてはくれない。


でもそれで思い出した。


あの日の別れ際のキス。