そんなことばかり考えてる俺がいる。
「ほら、礼澪。ネクタイ曲がってるわよ!」
「いいよ。自分で出来るって!」
俺が言ってもお袋はそれを無視して、ネクタイを直した。
こういう強引なところがあいつとダブる。
って、さっきからなんなんだよ俺!
首を左右に振って、両頬を思いっきりひっ叩いた。
「いっ…てぇー……」
「何やってんの?!そんなことして痛いのは当たり前でしょ!」
お袋はそう言って、バシンといい音がするくらい強く、俺の背中を叩いた。
ちくしょー……。
めちゃめちゃいてぇ…。
わざとだ…ぜってーわざとだ!
覚えてろよこのババア…。
「今ババアって言った?」
ニコリと聞いてくるお袋は、見るからに黒いオーラを纏ってる。
俺、口に出してないよな?
お袋すげぇ…エスパーだ。
「ぼさっとしてると本当に遅刻するわよ。もう知らないからね」
ため息をついて部屋を出ていくお袋の後について、俺もカバン片手に部屋を出た。
「あ、次言ったら拳骨だから。いいわね?」
顔は笑ってるのになんて恐い母親なんだ…。