【短】愛したくて、愛せなくて…。



雪華はしばらく黙っていたが、大きく息を吐き出してゆっくりと口を開いた。


「…嘘だよ。追われてるって言うのは。病院抜け出したのこれが初めてじゃないもん」


そう静かに話して、また黙る。


いくら初めてじゃなくても追ってくるもんじゃないのか?


口は悪くても一応病人なんだから。


駅に着くと、階段を上って反対側の出口まで歩いて病院まで行くことにした。


地下道もあるけど、この時期はものすごく寒いから却下。


階段で何度かバランスを崩しそうになりながらも、なんとか上りきった。


その時には息切れしてたけどな。


自慢じゃないけど、俺は体力ないんだ!


むしろ人をおぶって階段上ったことを褒めて欲しいくらいだぜ。


そんな俺を他所に、耳元で雪華がクスクスと笑う。


「お前なぁ…!」


怒ろうとしても、息が苦しくて怒れねぇ。


こ、これは悔しすぎるだろ!


「だって礼澪ってば、見た目と逆なんだもん。運動できそうなのに体力無いし、頭悪そうなのに有名進学校の北高の制服着てるし。すっごい意外!」


雪華は言いたいことだけ言い終わると、俺の背中に顔を埋めた。