【短】愛したくて、愛せなくて…。



ドアを閉めて、駅に向かって歩き始める。


店に入る前よりも人通りは多くなっていて、俺たちを振り返りながら歩いてく人も増えた。


別にもう気になんねぇけどな。


それよりも雪華の足の方が心配かも。


なんてったって裸足だし。


「なぁ、足大丈夫か?」


俺はさっきからずっと同じことばっか聞いてる。


それでも雪華は


「大丈夫」


としか言わない。


大丈夫なわけねぇじゃん。


けど、本人が大丈夫と言ってる以上、俺にはどうすることも出来ない。


なんかこれは男として悔しいと言うか、情けないと言うか…。


「礼澪ってロミオみたいだよね」


ってまた耳元で雪華が急に喋りだした。


ロミオ?


「ロミオって…ああ、ロミジュリか」


雪華の言ってる意味をなんとなく理解して俺は答えた。


名前が似てるってことね。


突然話し始めたから何かと思って驚いたじゃねぇか。


あ、そう言えば。


さっきから気になってることがあったんだ。


「お前追われてるとか言ってなかったっけ?」


少し顔を上に向けて、その疑問を雪華に訊ねる。