突如として、それはやってきた。海辺に向かう階段を下りようとしたその時だった。50mくらい離れた場所だろうか、向こう側に見える防波堤から飛び降りる男性の姿が見えて、波しぶき激しい中に身を投じたのだ…私は急いで近くにより、近くに居た、網を直している漁師さんらしき人に助けを呼んだ。すぐさま、その漁師さんは多少普段より波が激しいと思われる海の中へ飛び込み、飛び込んだ男性の近くまで行き片手で力強く、浜へと戻ってきた。この間10分の出来事で、私はただ立ちすくみ、見ているしかできなかった…。




 浜へ戻った漁師は人工呼吸の体制にはいり、私に救急車を呼ぶようにと首で合図した。公衆電話を探したが、あいにく近くになかったため、見える範囲で海の家に2軒ほどあったので、一番近い所の家にはいり、電話を貸してもらい、救急車を呼んだ。
 ほどなくして、人工呼吸のおかげか、口の中からぷいっと水を吐き出した、その男性は意識を取り戻した。まだ、目はうつろだったため、5分ほどで到着した救急車に揺られ、病院へと向かった。なかなか、手際のよい事をしたと思ったが、自分ひとりでは何もできない、あの漁師さんがいたからだと強く反省をした。いざというとき、何も出来ないんだなぁ~と少し寂しくにもなった…。漁師にお礼を言おうとすると、




 「おれいはあいつか聞くよ、おまえさんは何も礼を言う事はない、人助けをしたんだ…。」

白髪まじりの漁師は、歳をくっているには深いしわは若々しくも見えた。




 いいことしたんだ…そのとき初めて実感した。でも、そんなんは自分ひとりでは出来ないし、なんでだろう、どうして漁師のような考えになれるんだろうと…改めて考え直した。

 警察も何十分後に着たが、その漁師は私がなんか訳ありな事を察してくれたのか、

 「はよ、いけ。」と優しい言葉をかけてくれて、その場を去った。警察にあわせば、こんな制服姿では家出少女か、非行少女に思われても仕方ない。とでも、感づいたのか、その場をすぐ立ち去った。