授業中は気が休まる。

他の生徒達も四門さん四門さんと言い寄ってこられないので、自分の世界に没頭できる。

勿論授業なんて真面目に聞く訳がない。

何百年も学生をやっているのだ。

もう聞かなくても試験で学年トップに入る自信はあった。

時々歴史の授業で教師の話す内容に、「それ違う」とツッコミを入れたくなる事はあるけれど。

…クルクルとシャーペンを回しながら、私はボンヤリ窓の外を眺める。

魔女とはいえ、私とてそうそう毎日魔術を行使しなければならないような事件に遭遇する訳ではない。

むしろ私ほど裏の世界で名の売れた魔女になると、仕掛けてくる連中の方が稀なのだ。

今朝の夢の中のあのエクソシストのような奴がたまに来るくらいだろうか。

教会の連中は、相手が強かろうが稀代の魔女だろうが遠慮はしない。

無駄に使命感を持った連中だ。

誰が言い出したかもわからない『異端者は世に災いをもたらす者』という教えを律儀に守って、割と定期的に殲滅専門職の人間を派遣してきたりする。

人知れずこっそり魔道の研究をしている私が、いつこの世に災いをもたらしたのか、ぜひともお聞かせ願いたいものだ。

…と、そこまで考えて。

私は隣に座るクラスメイトの顔を横目で見た。

ん、まぁ彼には確かに迷惑かけたけどね。

その代わりちゃんと傷も治してあげたし、アフターサービスも万全じゃないの。

そのくらい、大目に見て欲しいものだ。