学校までの道程を半分ほど消化する頃には、他の生徒達とも遭遇し始める。

「おはよう四門さん」

「おっはよー四門」

「四門、今朝寒いねー」

朝の挨拶をしてくる生徒達。

私はそれを外面だけの笑顔で返す。

…人間は嫌いだ。

何が嫌いって、今の私と同じ。

外面だけだ。

考えている事はわかっている。

どうせ私とお近づきになりたいんでしょ?

その証拠に挨拶してくる生徒の九割は男子生徒だった。

私を外見でしか判断していないような連中ばかり。

朝の挨拶を接点に、うまく会話を発展させられればいいなんて思っているに違いない。

そういう欲望でしか行動しない辺り、どちらかと言えば人間の男の方が嫌いだ。

まぁ同性である分、女の嫌な面も知っているけど。

「メグ、おっす」

また男子生徒の声。

「ああ、おはよう」

適当に返事を返す。

「メグ、何だそっけないな」

当然でしょ、何で貴方に愛想良くしてやらなきゃいけないの。

「おい、メグ」

「何よ!」

あまりのしつこさに思わず語気を強めて振り返り。

「…機嫌悪いな、メグ」

初めてそれが修内太である事に気づいた。