「お前は『限定』の魔術の呪縛を受けているのだろう?人間を殺せば、その限定を…デッドゲイト家の掟を破った事になる。違うか?」

「ええ、そうね」

『門』から漏れ出る、死の世界の殺気を溢れ出させながら私は頷いた。

「ならば、その禁呪を使う事はお前の身さえも危ないのではないか?…お前は狡猾で打算的な魔女だ、異界開門などというリスクの大きい魔法を使う筈が…」

言いかけたクリスの言葉を遮るように。

「使うわよ」

私は言い切った。

「そりゃあね、普段はここまでしないわ…私だって痛いのも、死ぬのも御免だもの。でもね…」

ギロリと。

まさしく呪い殺すかの如き力を込めて、私は呪眼の視線をクリスに向ける。

「もし貴方がそれ以上修内太を傷つけるような事があれば、私は自分の身を捨ててでも禁呪を行使するわ」

「……っ!!」

その言葉、その覚悟。

私に偽りがない事を、クリスはその気迫で悟った。

「さぁどうするの?クリス」

私は静かに…しかし圧倒するような声色で言う。

「修内太を見逃してここから去るならよし…それとも私と死出の旅路を逝く…?」