『剣』と化したクリスの右手が振り上げられる。

「首をはねる。これならば流石の魔女でも生きてはいられまい」

倒れた私の首目掛けて、斬首の剣が振り下ろされる!!

しかし!!

「        !!」

私は高速詠唱で魔術を発動させる!!

放ったのは風の刃!!

三日月形の不可視の刃物は。

「くっ!!」

クリスの障壁に防がれたものの、それでも彼の体勢を大きく崩した。

その隙に。

「      っ!!」

私はもう一つの高速詠唱を実行する。

イメージしたのは綿毛。

風に乗って空を舞うタンポポの種子のように。

私の体はフワリと舞い上がり、その場から高速で離脱した。

風系の魔術の一つ、『飛翔』。

このまま戦い続けるのは不可能だ。

不本意ながら、私は一旦クリスからの逃亡を決断したのだった。