そこから先はクリスのやりたい放題だった。

左肩の傷を庇って思うように動けない私に、クリスは次々と拳を繰り出す。

私は防御姿勢すらまともに取れないまま、いいように打たれ続けた。

「これでどうだ!」

喉元へ手刀が突き入れられる!!

私は激しく咳き込みながら、再び地面に倒れた。

「何というしぶとさだ…喉は人体の急所だというのに…魔女にはそんな常識も通用しないのか…化け物め…」

クリスが心底驚愕したように私を見下ろす。

…ふふ…魔女か…。

倒れたまま、私は内心自嘲する。

そう、確かに魔女だ。

魔女狩りの時代から、罵りを込めてそう呼ばれてきた。

でも…。






じゃあな、『魔女』





修内太に言われたのには、グサッと来たなぁ…。

何故かこんな時にそんな事を思い出し。

「やだ…」

私はジワリと涙を浮かべてしまった。

それを何を勘違いしたのか。

「今更後悔の涙か…もう少し早くに改心していれば、考えてやってもよかったのだがな」

クリスは溜息をついた。

「少し可哀相な気もするが…四門メグ、ここで排除する」