魔女の瞳Ⅱ

胃の内容物を吐き散らしながら、私の体が後方へ吹き飛ぶ。

コンクリートの塀に激突し、それでも衝撃は吸収しきれずに塀を突き破って地面に叩きつけられた。

「がはっ…ごほっ…」

激突した時に受けた擦り傷や打撲は『再生』の魔術ですぐに回復する。

「厄介だな、君は。生ぬるい攻撃などでは再生してしまうのだったな」

クリスが呟く。

彼は私が立ち上がるのを待って。

「これならどうだ」

左の指先から、不可視の砲弾を撃つ!!

ヘルハウンドをも一撃で仕留めた強力な祓魔の砲弾。

立ち上がった直後だった私はその直撃を受け。

「ぐぁああっ!!」

左肩をごっそり抉り取られた。

べシャリと。

抉り取られた左肩の肉片がアスファルトに落ちる。

「うぅぅう…あぁぁあぁ…!!」

酷い痛みだった。

傷を右手で庇うものの、大量の出血は止まらない。

この傷では再生も時間がかかりそうだ。

時間…時間を稼がないと。

クリスから逃げようとして。

「!!」

私はあっさりと彼に退路を断たれた。

「逃げやしない…そう言っていただろう?」