「考え事の最中悪いが」

クリスが右の手刀を構えた。

「僕の仕事はここからが本題でね…四門メグ、お前の排除が今回の任務だ。五年前の礼という、個人的な感情もある」

そう言って。

「滅せよ、稀代の魔女!」

『加護』によって超人的な身体能力を得たクリスは、私に突進してきた!

並みの人間では考えられない程の速さで間合いを詰めてくるクリス。

私は咄嗟に障壁に魔力を注ぎ込む!

クリスの振り下ろしてきた『剣』の手刀は、激しい衝突音と共に私の障壁に阻まれた。

「くっ!」

私は素早く思考を巡らせる。

彼が瞳術封じの眼鏡をかけている限り、私の精神干渉系魔術は通用しない。

かといって人間を傷つける事はできない。

ならばまずは、彼の眼鏡をどうにかする必要がある。

私は素早く右の五指をクリスに突き出す!

いわゆる『目突き』。

これでクリスの瞳術封じを砕く!

しかし。

「当然そう来ると思ったよ」

クリスは私の右手を掴む。

そして巻き込むような動きで私に密着し、そのまま投げで地面に叩きつける!

柔道で言うところの一本背負い。

「がはっ!」

私は強かにアスファルトに打ちつけられた。

「エクソシストといえど、格闘術は必須科目でね」

倒れた私の顔面に拳を打ち放つクリス!

咄嗟に横に転がってかわしたものの。

「ちっ」

クリスの拳は、アスファルトに穴を穿った。