私は反論しようとして。

「……っ」

言葉に詰まった。

確かに、私が何らかの理由で戦えなくなった時も、修内太が側にいれば守ってもらえる。

魔術を教える際にそういう打算が働かなかったと言えば嘘になる。

本当は修内太に魔術は使わせたくない。

でもいざという時は私の補助をしてもらえれば…。

修内太を護衛役にという私の考えが、クリスの言う『ちょうどいい傀儡』というのとどれ程違うというのか。

答えに窮する私に。

「メグ」

修内太が困惑した表情を向けた。

「嘘だろ?利用してたなんて…嘘だよな?」

「…そ…それは…」

私は即答できない。

ここで即答する事は、それこそ彼に対する偽りだと感じたのだ。

そしてその躊躇が、彼の中での決定的な不信へと繋がった。

「何で答えないんだよ…メグ」

修内太の表情は、困惑から怒り、怒りから失望へと変わる。

そして。

「そうかよ…」

修内太は私に背を向けた。

「じゃあな、『魔女』」

そんな言葉と共に。














彼は二度と振り返る事なく、私の元を去っていった…。