「 !」
素早く高速詠唱し、『強化』の魔術で身体能力を高める。
互いの拳が衝突した瞬間。
ガキンッ!!と。
明らかに生身の肉体では有り得ないような音が周囲に響いた。
例えるなら、金属バット同士を叩きつけたような音。
「相変わらず早業だね。一瞬で『強化』を施したのかい?」
ぶつかった拳に力を込めるクリス。
「そういう貴方だって用意周到じゃない。あらかじめお得意の『加護』を施しておくなんて」
私も拳での押し合いをしながら不敵な笑みを浮かべた。
…五年前にもこの男…異端者殲滅専門職・エクソシストであるクリスはこの術を使って私に仕掛けてきた。
祓魔術(ふつまじゅつ)、『加護』。
この術ひとつで身体能力強化、精神昂揚、肉体強度上昇、障壁発動などの複数の効果が得られる、反則じみた術だ。
エクソシストが敵として厄介なのは、魔力も持っていないのにこういう術を使える点にある。
では魔力無しにどうやって術を行使しているのか。
…答えは彼が腰に下げている瓶にあった。
350ミリリットルの缶と同じくらいの大きさの瓶の中に、無色透明の液体が入っている。
中身は油だ。
勿論ただの油ではない。
『聖油』と呼ばれる、エクソシストが悪魔祓いの儀式で用いるという神の祝福を受けた油。
人間の肉体に憑依した悪魔はこの油をつけられることを嫌う。
そしてこの油は、異端者殲滅の際にも絶大な効果を発揮するのだ。
拳の押し合いの最中にクリスはその聖油の瓶の蓋を開け。
「退け、忌々しい魔女め」
その飛沫を私に散らす。
その飛沫が私の体に触れた瞬間。
「!!」
ジュウッと。
まるで硫酸でもかけられたように、私の肌が焼け爛れた!
…これが聖油の威力のほんの一端。
神の祝福を受けた聖油は、異端者の肉体を殺傷する力を持つのだ。
素早く高速詠唱し、『強化』の魔術で身体能力を高める。
互いの拳が衝突した瞬間。
ガキンッ!!と。
明らかに生身の肉体では有り得ないような音が周囲に響いた。
例えるなら、金属バット同士を叩きつけたような音。
「相変わらず早業だね。一瞬で『強化』を施したのかい?」
ぶつかった拳に力を込めるクリス。
「そういう貴方だって用意周到じゃない。あらかじめお得意の『加護』を施しておくなんて」
私も拳での押し合いをしながら不敵な笑みを浮かべた。
…五年前にもこの男…異端者殲滅専門職・エクソシストであるクリスはこの術を使って私に仕掛けてきた。
祓魔術(ふつまじゅつ)、『加護』。
この術ひとつで身体能力強化、精神昂揚、肉体強度上昇、障壁発動などの複数の効果が得られる、反則じみた術だ。
エクソシストが敵として厄介なのは、魔力も持っていないのにこういう術を使える点にある。
では魔力無しにどうやって術を行使しているのか。
…答えは彼が腰に下げている瓶にあった。
350ミリリットルの缶と同じくらいの大きさの瓶の中に、無色透明の液体が入っている。
中身は油だ。
勿論ただの油ではない。
『聖油』と呼ばれる、エクソシストが悪魔祓いの儀式で用いるという神の祝福を受けた油。
人間の肉体に憑依した悪魔はこの油をつけられることを嫌う。
そしてこの油は、異端者殲滅の際にも絶大な効果を発揮するのだ。
拳の押し合いの最中にクリスはその聖油の瓶の蓋を開け。
「退け、忌々しい魔女め」
その飛沫を私に散らす。
その飛沫が私の体に触れた瞬間。
「!!」
ジュウッと。
まるで硫酸でもかけられたように、私の肌が焼け爛れた!
…これが聖油の威力のほんの一端。
神の祝福を受けた聖油は、異端者の肉体を殺傷する力を持つのだ。


