魔女の瞳Ⅱ

その時だった。

「四門メグ」

突然私を呼ぶ声。

私、そして修内太が思わず身構える。

…声のした方向…車の往来が完全に途絶え、信号だけが健気にその役割を果たしている交差点の真ん中に、一人の男が立っていた。

襟足の長い金の髪を後ろで束ねた修道服姿の男。

年齢は二十代半ば。

優しげな表情に黒いフレームの眼鏡をかけている。

胸に揺れるのは銀色のロザリオ。

その出で立ちから、彼が教会の関係者である事はすぐに理解できた。

「お、おい…メグ…あれってまさか…」

言いかけた修内太の言葉を遮るように。

「クリスッ。クリスチャーノ・レオンフィールド!」

私は笑顔を浮かべた。

「久し振りだね、四門メグ」

その修道服の男も柔和な微笑を見せた。

「元気だったの?」

ゆっくりと歩み寄りながら私は言う。

「ああ、元気だったさ。メグは?」

その男…クリスも軽やかに歩き出す。

「私は元気よ、決まってるじゃない」

笑顔を絶やさないまま、少し私の歩調が早まった。

「そうか、よかった」

クリスもやや早足になる。

その足取りが。

「逢いたかったよ、メグ」

「私もよ」

お互いに駆け足となり。







「「殺したいほどにね」」







全速力で、渾身の拳を見舞った!!