太陽が西に傾き、校庭に長い影が伸びる。

放課後。

生徒達は思い思いの場所へと足を運ぶ為、次々と校舎を出て行く。

そんな中、私と修内太も帰宅する所だった。

「何で一緒に行かなかったんだ？ボーリング。皆誘ってくれたのに」

下駄箱で上履きから靴に履き替えながら、修内太が私に言う。

「何でって…見え見えじゃない。わからなかったの？修内太」

私はローファーに履き替えた後、呆れたように溜息をついた。

午後のホームルームが終わった直後、数人のクラスメイトが私を誘いに来た。

一緒にボーリングに行かないかという事だったのだが。

誘ってきた連中の中の、男子生徒数名が、やけに目をギラギラさせていたのだ。

あれは青臭い告白…あわよくば二人きりになれる場所に私を誘い込もうというハラだ。

なのであっさりと断ってやった。

修内太に声をかけ、腕を組んで教室を出るというオマケ付きで。

ギラギラした数名の男子生徒の落胆した顔といったらなかった。

ちょっと気の毒な気もするが、こういう駆け引きで稀代の魔女に挑もうなんて数百年早いのである。

「そんなに嫌うほど嫌なもんかね、人間って」

修内太が独り言のように呟いた。