二人は約束を胸に、歳月を重ねていった。

そして来春には結婚式を控える年を迎えた。

二人には、新婚旅行で行きたいところなどなかった。

トリステアがよかったのだ。こここそが、二人の夢。

この大好きな国で、あたたかな家庭をつくっていくこと。

親戚の赤ちゃんにいつもでれでれしているヴァルクスは、きっと産まれるのが男の子でも女の子でも子煩悩な父親になる。

セレイアはそう思って、幸せだった。

幸せな未来を、信じていたのだ。

なのに……。




約束は、果たされなかった。




どうして。なぜ。

セレイアは追憶に沈んでいく…。