セレイアは実をいうととてもその運命の間なるもののことが気になったのだが、ディセルの心が受ける見えない負担のことも考えて、今は深く考えないことにした。

「焦って思い出さなくてもいいのよ。

時が来れば、きっと自然に思い出せるから。

気持ちを切り替えて、この地図を見ましょう。この大陸のことは何か思い出せる?」

「大陸…のことは…う~ん全然」

「じゃ、解説するわね」

セレイアはテーブルいっぱいに大陸地図を広げた。

エフラレス大陸。

どっしりとした縦に長い円形をしたこの大陸が、人間界唯一の大陸と言われている。

大陸の中央には、何人たりとも侵入できぬと言われている世界一高い山「青幻山」があり、

その北にこの国、神聖王国トリステア、

西に、空中庭園王国サティエイト、

東にアル・ラガハテス部族王国、

南にエイフォーティク帝国があり、あとは小国が大陸中に散らばって存在している。

「一番広大な領土を持つのは、エイフォーティク帝国ね。現帝になってからというもの周辺の小国を一気に併呑してしまった、血気盛んな国。サティエイトは空の浮島を領土とする、空駆ける能力の高い青いプミールに祝された国で、戦に関しては穏健派よ。我が国にとって厄介なのがこのアル・ラガハテス部族王国で、しょっちゅう戦を仕掛けてくるわ。でも彼らも彼らの操る赤いプミールも寒さに弱いから、難なく追い返せるんだけどね」