“原初の世界は混沌であった。

混沌に光が生まれ、物質を照らし出した。

光から意思が生まれ、神々が生まれた。

神々は照らし出された物質を大地としそこに住まった。

やがて光から新たなる意思が生まれ、人間が生まれた。その誕生を嘉するように、やがて大地は三つに分かたれた。

ひとつが、〈天上界〉。神々の住まう場所。

ひとつが、〈人間界〉。我々人間の住まう場所。

ひとつが、〈地底界〉。未知なる生命の住まう場所。

世界はこの三つの異なる空間がより合わさって世界となっている“

「あれ…」

ディセルがしきりに首を傾げているので「どうしたの?」と訊いてみると、彼はこう尋ね返してきた。

「セレイア、“運命の間”は?」

「………―――はい?」

「世界は三つの空間からなるって言っているけど…“運命の間”が抜けているよ」

「何よそれ…“運命の間”って…全然わからないわ」

聞いたことのない単語だ。

ディセルは何か、自分たちの知らないことを知っているのだろうか?

それはひょっとして神人だからか。

「 “運命の間”っていうのは、どんなところなの?」

「それが…“運命の間”があるってことは思い出せるんだけど…どんなところなのかはまったく思い出せなくて…う~ん」