ディセルが惚けたように風車を眺める一方、セレイアはまだ残っている大事な仕事にとりかかっていた。
彼女は避難した人々のもとまで行くと、彼らに呼び掛け始めた。
「少しでも霧を吸ってしまった人は、皆一列になってください。今から浄化しますから」
ぞろぞろと、人々が列をなし始める。
セレイアは一人一人に“浄化”の聖句を唱えていった。
すると人々の顔色がよくなり、最後には笑顔になる。
さきほど神殿でやっていたので見覚えがある。なるほど、“霧”を吸ってしまった人々を救うための儀式が、“浄化”か。
セレイアは優しい顔つきで、一人一人に声をかけていた。他愛もない話題だったり、安心させる内容だったり。その慈愛の微笑みを見れば、セレイアが本心から民を愛してやまないことが、誰にでもわかる。
そして民もまた、そんなセレイアを心底から愛し、尊敬していることがわかった。
よい国だな、と思う。
まだ数日しか知らないが、それだけでもよい国だと思う。
けれどこの霧がなんなのか、ディセルにはそれが気がかりだった。
彼女は避難した人々のもとまで行くと、彼らに呼び掛け始めた。
「少しでも霧を吸ってしまった人は、皆一列になってください。今から浄化しますから」
ぞろぞろと、人々が列をなし始める。
セレイアは一人一人に“浄化”の聖句を唱えていった。
すると人々の顔色がよくなり、最後には笑顔になる。
さきほど神殿でやっていたので見覚えがある。なるほど、“霧”を吸ってしまった人々を救うための儀式が、“浄化”か。
セレイアは優しい顔つきで、一人一人に声をかけていた。他愛もない話題だったり、安心させる内容だったり。その慈愛の微笑みを見れば、セレイアが本心から民を愛してやまないことが、誰にでもわかる。
そして民もまた、そんなセレイアを心底から愛し、尊敬していることがわかった。
よい国だな、と思う。
まだ数日しか知らないが、それだけでもよい国だと思う。
けれどこの霧がなんなのか、ディセルにはそれが気がかりだった。

