霧に覆われた場所では、人々が口を押えパニックを起こし逃げ惑っていた。
「皆さん! 防護マスクです! これをつけて、すぐこの場を離れて! もう風車がまわるから、大丈夫ですよ!」
「ひ、姫巫女さまっ」
「助けてっ」
「大丈夫ですよ。はい」
混乱する人々に比べてセレイアは凛と落ち着いている。
穏やかな声音で、マスクを渡し、人々を安全な場所に誘導していった。
その姿に、人々も少しずつ落ち着きを取り戻してきたようだ。順にマスクをつけ、避難していった。
そして不意に強い風が吹き付けて来て、霧が街の外へと流され始めた。ディセルが顔を上げると、そこでは巨大な建造物が動いていた。
街を見はるかす高台に、それはあった。ディセルの知る一番高い建造物である、白銀の神殿よりも高さがあるのではないだろうか。一本杉のようにしっかりとした基部の上、ぐるぐると巨大な車輪のようなものがまわっている。それがこの強い風を生み出しているらしい。
「あれが風車か」
紫の霧はしばしののち、完全に風に流されて消えた。
すごい装置だ。
いったい誰が考えたのだろう。
「皆さん! 防護マスクです! これをつけて、すぐこの場を離れて! もう風車がまわるから、大丈夫ですよ!」
「ひ、姫巫女さまっ」
「助けてっ」
「大丈夫ですよ。はい」
混乱する人々に比べてセレイアは凛と落ち着いている。
穏やかな声音で、マスクを渡し、人々を安全な場所に誘導していった。
その姿に、人々も少しずつ落ち着きを取り戻してきたようだ。順にマスクをつけ、避難していった。
そして不意に強い風が吹き付けて来て、霧が街の外へと流され始めた。ディセルが顔を上げると、そこでは巨大な建造物が動いていた。
街を見はるかす高台に、それはあった。ディセルの知る一番高い建造物である、白銀の神殿よりも高さがあるのではないだろうか。一本杉のようにしっかりとした基部の上、ぐるぐると巨大な車輪のようなものがまわっている。それがこの強い風を生み出しているらしい。
「あれが風車か」
紫の霧はしばしののち、完全に風に流されて消えた。
すごい装置だ。
いったい誰が考えたのだろう。

