セレイアが踵を返そうとするので、ディセルは慌てて彼女の肩をつかんだ。

「待って! 何言ってるんだ! だめに決まっているだろう!? 危険な旅になる。とても連れていけない。それに、君には姫巫女としての仕事があるんだから!」

セレイアが半身を返してディセルを見つめた。

その目は澄んだ青。青空の、青。

初めて見た時と同じ、どこまでも澄んだ美しい輝き。

息をするのも忘れてディセルが思わず至近距離からのそれに見入っていると、セレイアは目元を緩めて言った。

「勘違いしちゃ困るわ。危ないのなんて今更始まったことじゃないし、それに、姫巫女の仕事として、行くのよ」

「え…?」

思いも寄らぬ言葉に、ディセルはまたも絶句する羽目になる。

セレイアは語りはじめた。

先日謁見した時の、ハルキュオネとの大切な会話を。