休暇を取って二週間が過ぎる頃。

フリムヴェーラとクレメントの訪れを知らされたセレイアは、二人に会うかどうか迷っていた。

これも迷ったのだが、ディセルを通じて、二人にはヴァルクスの死を知らせた。だからきっと二人はとても心配しているだろう。

しかしセレイアの気持ちはまだ悲しみの暗闇にとらわれていて、何をする意欲もわかないし、泣きすぎて瞼は腫れ、とても見られる顔ではない。

でも、久しぶりに会いたいな…とも思う。

どうすべきか。

二人を客間に通してもらったうえで、窓の外を、頬杖を突きながら眺め、迷っていると、不意に目の前がかすんだ。

いや、淀んだ、というべきか。

紫色の空気があたりに漂い始めているのに気づき、セレイアはがばりと立ち上がった。

「霧だわ!!」

素早くゴーグルを身に着け、窓を開け放つ。

廊下に飛び出すと、使用人たちに叫んだ。

「屋敷の中に霧よ! 急いで全部の窓を開けて! そして風車番に知らせてちょうだい!」

セレイアの指示に、使用人たちがあたふたと動き始める。