護衛の騎士たちが飛び出してきた。

それと同時に、ヴァルクスがまた狂気にとらわれてしまった。

唸り声をあげ、素早い槍さばきで護衛の騎士たちに向かっていく。

ああ、しかし、ヴァルクスはすさまじく強いのだ。

セレイアが呆然と立ち尽くしている間に、ヴァルクスの容赦ない攻撃によって、護衛たちの命が一人、また一人と失
われていった。

「やめてぇぇぇぇ――――!!」

こんなこと、やめさせなければならない。

民を、守らなければ。


そう思ったら、体が自然と動いていた。

護衛の一人をまた串刺しにしようと槍を振りかぶるヴァルクスの背に、突進する。

槍を、構えたまま。



鈍い手ごたえ。

飛び散る鮮血。

振り返ったヴァルクスの、……微笑み。